記事まとめ2014年09月28日配信

この技術でネトスマの遅延も解決!? Microsoft『デロリアン』

とても未来を感じさせる技術が……。
あ、このページちょっと長くなっちゃったんでご注意を(笑)。



Microsoftはゲーマーを対象に「どのくらいの遅延でストレス感じる?」を調査した。
結果は「3フレームは結構気になる。7フレームあったら無理ゲー」てな具合。


そりゃそうだよなぁ。
ネトスマも3フレームの遅延が限界ですよね。
4フレーム(50ms)を超えた辺りから水中スマブラになりますし。


ネットを使う対戦ゲームは遅延のストレスが大変です。



そこで来たのが「DeLorean」
デロリアンです。某タイムトラベル映画の車ではないです。お互い未来的だけど。


米Microsoftの研究部門、Microsoft Researchは8月21日(現地時間)、クラウドゲーミングの最大の問題である遅延(レイテンシ)によるストレスを解消するための新技術「DeLorean(デロリアン)」を発表した。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1408/25/news052.html
Microsoft、クラウドゲーミングの遅延解消技術「デロリアン」を発表 - ITmedia ニュース


どんな技術なんでしょう。


DeLoreanは、この問題をユーザーの次のインプットを予測し、先行してデータを送るという「投機的実行(speculative execution)」システムで解消しようというもの。
過去のプレイヤーの膨大なデータとプレイヤー個人のデータを分析して予測する、いわゆる「マルコフモデル」のシステム。


!!
遅延を無くすというより、プレイヤーにストレスを感じさせない(ラグを感じさせない)ようにするのか。


遅延対策の技術はデロリアンだけじゃないだろうけど、ビックリしたのは「プレイヤーの行動を先読みしてラグを解消する」ってトコ。マジか。


イメージとしてはこんな感じでしょうか。
例えば遅延に弱いネス。
復帰の時にラグるとすぐ死んじゃうネスサン。

でも復帰の時はそんな複雑な操作をしてないんです、実は。





この2つのキー入力が基本です。

なので、場外に飛ばされた時はデロリアンが「このネス使いは2パターンの復帰がほとんどだと予想できるから、崖掴みと1F乗りの操作を先に送っておくか」と助けてくれる!


そうやって先にデロリアンに予測してもらえば、パターンが決まってる復帰時はラグを感じなくて済む……ってことで合ってるんだろうか(笑)。



別のブログにこのような感想が。


いや~これはすごいよな。ネットのタイムラグを人間に感じさせないように、あらかじめ人間がする選択を予測してデータを送信しておく。

十分予測精度が高ければ、人間は実際にゲームする必要ないんじゃ?対戦ゲームで開始の「FIGHT!」と表示された時点で、裏ではすでに決着済みのデータが自分のパソコンに密かに送信されてるのwwwww。どういう負け方をするかまで予測されて。

人間にとってゲームの意味とは?を突きつける問題作!ゲームも人間に代わって機械がやってくれる時代か…。楽でいいよね。でも「こいつは最近ログインしてないから、きっと腕が落ちてるはず」というところまで予測されてしまうかも。

http://mechag.asks.jp/860694.html
ゲームの投機実行 : メカAG


な、なんだか恐ろしいことを予測されている!!
プププランド選択! 3……2……1……GO! GAMESET!


でも「メッチャ強いCPUがいたらゲーマーは勝てないんじゃね? てかプレイヤーの意味って?」という話題は結構聞く。


スマブラも実はCPUに勝てないんじゃ……。
「人 VS AI」にはこんな回答がある。
「小足見てから昇竜打ってくるCPU作れば、人間側は詰み」と。


スマブラ64にもありますよね。
レベル9のCPUに飛び込んでいったら、とんでもなく高い精度で下スマ迎撃して来るの(笑)。いわゆる超反応。それをもっと強くしていったら……。



よく「コンピュータが発達した現代では、人の仕事が機械に奪われていく!」説を聞きますが、こういう予測に対して「心配ないよ。例外が発生した時に機械は対応できない。予想外のアクシデントに機械を対応させるにはコストが掛かかるから、臨機応変に動ける人間でおk」「それに人間味はマネできないよ」てな反論がある。


スマブラに置き換えてみる。
「ヨッシーは、相手の攻撃を全部ブロッキングすれば理論上最強」説をたま~に見ますよね。
この最強説、プレイヤーの入力を全て予測できれば可能かもしんない。


しかし多段攻撃という例外がある。ブロッキングは多段攻撃に対応できない。
あ、スマブラの多段攻撃は例外じゃないかな。
でもブロッキング最強説において、多段攻撃は想定されてない例外ですよね。


人間が多段攻撃をやったら、CPUヨッシーはブロッキングせずにガードで返してきた。
その行動の先を更に人間がまた対策して……ってループになる気が。
たとえコンピュータでも、立ち回りが更新され続ける対戦ゲームに対応してくのは大変なんじゃ。それとも案外カンタンに対応できちゃうんですかね?



対戦格闘ゲームのネット対戦は、1Pと2Pの間で送られるデータは「↓↘→A」とか「→→→↓↘A」とかのキー入力がメインだから、そんな複雑なやり取りをネット上でしてないらしい。


ってことはカービィ使いが「→←↑A」と入力してステップ反転テイルを出しても、CPUはステップ反転テイルにはコレだ! とか言って「↑B(マリオの昇竜)」で返すのはカンタンだったりして。


レベル9のCPUには実装されてないだけで、レベル99(仮)のCPUなら100%確定する起き攻めができそうだしなぁ。
「その場起き上がり」「手前受け身」「奥受け身」「起き上がり攻撃」「何もしない」なんかのパターンはあるけど、数は限られるし。


あとは「ヒットストップずらし」って例外にどう対応するか。
実際、上級者の起き攻めはパターン化されてるし、起き攻めしてる時のキー入力はデロリアンにも予測できる範囲なのかも。




そもそも、人がコンピュータに勝てなくても、対戦ゲームの面白さは変わらないって見方もある。
全ての行動を予測できるシステムが作られたとしても、人はプロゲーマーのプレイを楽しんで見ますよ、と。

プロゲーマーのときどさんはウメハラさんのことをこう評してる。


ウメハラさんについてよくいわれるのは、「どんな技が飛び出すのかわからない」「見ているだけで楽しい。ウメハラさんの試合は、負け試合でさえも面白い」。そのとおりだ。

ウメハラさんからは「僕なら絶対そんなことしない」というプレイが飛び出してくる。
しかも、それが勝敗を分けるのだ。

タスク処理のごとく合理化・効率化に励んできた僕が、「これもムダ、あれもムダ」といって切り捨ててきた膨大な選択肢のなかから、ウメハラさんはダイヤモンドを見つけ出してくる。

ときど『東大卒プロゲーマー(PHP新書)』 p.187


目の前に、人参とジャガイモと玉ねぎが置いてある。
誰もがピンとくる。「これはカレーかな」。
そこで案の定カレーを出すのが、僕である。
予想していたんだから、それがどんなに美味しいカレーであっても、そんなに驚かれはしない。

(中略)

対するウメハラさんは、その見るも明らかなカレーセットを前にした状況にもかかわらず、「何を作ってくれるんだろう?」と、人に期待させてしまう。
そして実際に、カレーとは似ても似つかない、思いもよらぬ新しい料理を提供してくれるのである。

ときど『東大卒プロゲーマー(PHP新書)』 p.188


んー、個人的にはときどカレーが好み(笑)。
お決まりの味でも微々たる変化はある訳でして。それに気付くのは楽しい。


本題は、最適行動を選んでくるCPUは、「次に何を作ってるくれるんだろう?」というワクワクを提供するウメハラ的なプレイができるのか? と。




いけない、話が横に逸れた。
まあこの技術はクラウドゲームの話でして、ネトスマとは別物ですかねー。
ここまで書いといて申し訳ない(笑)。
でもネトスマに応用できたら面白そう。


論文によると、ゲームはビデオストリーミングなどと異なりバッファすることができないので、ネットワーク環境が整った住居でもクラウドゲーミングでは100ミリ秒以上のレイテンシが発生するという。

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1408/25/news052.html
Microsoft、クラウドゲーミングの遅延解消技術「デロリアン」を発表 - ITmedia ニュース


回線が詰んでなきゃ16ミリ秒くらいの遅延で済むネトスマとは、ゲームの種類が違うみたい。
クラウドゲーミングは遅延が大変で、だからデロリアンが登場したと。


実際に「Doom 3」と「Fable 3」でテストしたところ、250ミリ秒のレイテンシがある環境でもストレスなくプレイできたという。
DeLoreanが実用化されるかどうか、Xboxで採用されるかどうかなどは不明だ


FPSをプレイしても問題ないと。
こんな技術があって、しかもプレイヤーの行動を読むなんてスゲー、って話でした。

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