e-Sports2017年06月29日配信

DetonatioNが強豪でいられる理由は営業力 梅崎伸幸『月給プロゲーマー、1億円稼いでみた。』



なんでDetonatioNは次から次へとスポンサー契約できるんだ、と前々から不思議に思っていた。
インターネット接続事業者やゲーミングデバイスメーカーと協力するのは想像していたけれど、
au(KDDI)大塚食品などの企業が付いた時は、さすがに「ついにここまで来たか」と驚いた。


結果だけ報告されると、どんなマジックを使ったんだという気になりますが、本書では梅崎伸幸氏の営業について具体的に記述されています。
具体的を通り越して、赤裸々なドキュメンタリーです。
とにかく金欠の大変さが伝わってくる。


プロゲーマーに給料を支払うのがきついとか、彼らの食費と光熱費も出さなきゃいけないとか、ゲーミングハウスの家賃も必要だとか。
プロチーム設立当初は、スポンサーこそ付けど現金くれないし、とか。(パソコン周りの機器で現物支給)
2014年の会社としての売り上げはわずか100万円で、そこから6000万円、1億円と成長したのだから凄い。


その過程でいかに梅崎氏がe-Sportsを売り込んでいたか語られる訳ですが、意外だったのは突破口が「プロゲーマー専門学校」と「マツコ会議」だという点。(あれが絡んでたの!?)
専門学校のおかげでe-Sportsの市場が注目され、高い視聴率を持つ番組のおかげでDetonatioNの認知度が高まった。
格段に企業へアピールし易くなり、DetonatioNの経営も軌道に乗っていったと。



そして月給プロゲーマーの誕生です。
いくら貰ってるのか、収入源はどこか、その手の情報は中々公開されないので面白かった。

しかし何より、給与制に踏み切った梅崎氏の動機が印象に残る。
日本で、恐らく海外でもプロゲーマーとして生涯を全うした選手はまだいないでしょう。

現役時代に"安定して"稼ぎ、引退後にセカンドキャリアを手にした時、プロゲーマーが職業として確立したと言えます。(本書では強く「プロゲーマーは刹那的な賞金稼ぎではない」と主張されています)

DetonatioNが月給制を維持するのには、遠大な目的があった事を知りました。


【気になった所】
・p.105 ”DFMのライバルの強豪チームに入ったある選手は、『LoL』の世界では全く無名だったにも関わらず、わずか1年間で日本でも指折りの選手へと成長しました。”
DFMのライバルといったらRampageだから、ある選手ってのはRamune選手? それともRoki選手?

・毎日10時間の練習は頼もしい。ところでプロゲーマーが株式会社Sun-Gence(DetonatioNの運営会社)の正社員だとしたら、2時間は時間外労働となるのだろうか。
プロゲーマーの年次有給休暇、社会保険なんかも気になる所。

【誤字・脱字】
p.109 ×SPF 〇FPS
p.110 ×野球もそうでしょうでしょう? 〇野球もそうでしょう?


このエントリーをはてなブックマークに追加