ライトノベル2014年04月17日配信

メタ発言だらけでオーディオコメンタリーみたいになってる

その姿は、さながら芋虫のようだ。
妹虫と名付けよう。
「お兄ちゃん、妹に淫靡なニックネームをつけないで」
「地の文を読むな」

(西尾維新 『猫物語 (黒)』 講談社BOX)


地の文って(笑)。文章だからできる遊びですなあ。
物語シリーズでメタ発言は良く出てくるのだけれど、
猫物語 (黒)でいっきに増えた気がする。


「どうやらここから、見開き二ページにわたる、お前のパンツトークが始まるらしいな」
「そう。そういうのが嫌いな人は飛ばして読んでね」


キャラが暴走してるのか、作者が下着に一家言を持っているのか……。
パンツの描写が無駄に豊富(必要な無駄?)な場面が過去にあったから、
パンツ談義が長々と続いた所でこっちも驚かないけどね。


妹達と遊んでいるだけでうっかり80ページ前後の、
全体の紙幅の四分の一近くの時間を消耗してしまったので、
ここから先は手っ取り早く巻きで行く。
アニメから入った阿良々木ビギナーの皆さんはすでに脱落してしまったかもしれないけれど、
まだ読んでる人は我慢してついてきて欲しい。


主人公が読者に配慮してくれる親切な作り。
作者が「これはフィクションだよ」と物語の中で伝えに来る。
メタフィクションって言うんだっけこういうの。


どうせこんなシリーズ、六冊目みたいなところまでアニメ化される心配なんかないんだから、
好き勝手やっても広くはバレないはずだ。
テレビでこんなシーンをやったらヤバいけど、
活字でやる分には、僕の好感度に影響はないはず!
小説は規制されないのだ!


小説とアニメの間でコミュニケーション取り始めたー。
「映像化するなよ?絶対するなよ?」といったフリか。制作会社に向けた。
まあ発行の二年後にアニメ化されるんですけどね。


小説は規制されない……都条例の「非実在青少年」が物議を醸してた時期だったんだよね。
当時の時事ネタがちょいちょい入ってくる。
メタメタし過ぎて時事ネタくらいじゃ違和感ないけど。


「僕に凶器は通用しない。僕は非実在青少年だ。条例で保護されている」
とかキメ顔で妹に宣言するからね。主人公が。



その主人公、阿良々木暦によるこんな時事ネタも。

「あー。最近のゲームなー。最近ていうか最新のゲームかな。
通信機能とかネット対戦とか、そんなんばっかりで、
一人で遊んでも製作者の意図する面白さの半分も味わえない作りになってんだよ」


作者の心境なのかなあ。
確かに一人用のゲームは、作り手の配慮や創意工夫を一対一で読み取るのが楽しいですからね。


私は最近『Half-Life 2: Episode Two』を再びプレイしてるんですけど、
開発者による解説をプレイ中に聞けるモードがあるので
「あぁこの敵キャラの配置は、プレイヤーにとって親切な位置になってるんだなあ」
と、ごく普通にゲームを進めていたら気付かない意図を読み取れて面白い。


でもまあ、対人ゲームも対戦相手の意図を読む、思考を読み合う楽しさはある。
それに、スマブラ64がいかに考え抜かれた作りになっているかは、
狂った様に対戦を重ねたネトスマ勢なら嫌という程わかってるはず。
カービィが優遇されてるとか、ドンキーが不遇すぎるとかね!



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